2012年8月10日金曜日

バリ・アート・フェスティバル(PKB)のすすめ















いろんな“初めて”体験をしてきた6月のバリ旅行。
ついに「バリ・アート・フェスティバル」にも行ってきた。

バリ・アート・フェスティバル。
通称は、インドネシア語の頭文字をとってPKB(ペーカーベー)。
毎年、6月~7月頭の一か月間に渡って開催されるお祭りである。
どんな旅行ガイドにも載っている大イベントだが、
なぜだか、実際に行ってきた、という体験談はあまり聞かないし、
具体的な情報も乏しい。

しかし、毎日毎夜、バリ芸能にまつわるいろんな出し物がタダで披露されるらしく、
ひと月ずっとロックフェス状態なのだという。

そりゃ行ってみたい。しかも滞在はフェス期間の真っ只中。
今度こそ行くべし! てなわけで、ふた晩ほと参戦してきましたよ。

まずはバリに着いた初日の夜。
会場となるアート・センター(タマン・ブダヤ)はデンパサール市街にあって、
サヌールからのアクセスが比較的便利。

しかしわれわれは、デンパサールのインナ・バリに泊まっている。
徒歩圏内ではないが、タクシーに乗れば5~10分程度とさらに至近。
メインの出し物が20時に始まるので、
夕方にホテルの近くのパドゥン市場をちょこっと覗いてから、流しのタクシーを拾う。

夕暮れのパドゥン市場









ちなみにタクシーでは「アート・センター」で通じた。
ちょっとインドネシア訛りを真似て「アルトゥ・センテル」って言ってみたけど。

タクシーが会場に近づくと、
巨大な青白い光が2本、夜空に向けて放射されてるのが見えて、
そこだけラスベガスか、スーパーボールでもやってそうな雰囲気。

パドゥン市場からアート・センターまではほぼ一本道で、
途中で、ガジャマダ通りからハヤムウルック通りへと名前が変わる。
そのハヤムウルック通りの両脇が、路駐のバイクで埋め尽くされ、
臨時の駐車場だらけとなり、道は大渋滞となり、
バリではめったに見ないことだが、歩道が歩行者で埋め尽くされ始めると、
もはや会場はすぐそこである。


タクシーがいきなり停車して「ここから入れ」と言うのだが、
特に、ここからがフェスティバルですよ!とわかるような入口も見当たらない。
運転手に促されるまま、人の波が流れる方向へと足を向けると、
バリの民族衣装を扱ってる店と、何軒かの屋台が見えた。

少し進むと、相当な数の露店が並ぶ広いナイトマーケットになっている。
衣類、サンダル屋、お菓子、玩具屋、バッソの屋台などなど、ビッシリ店が並んでいて、
テカテカとイルミネーションが輝く観覧車を擁する移動遊園地まである。

ナイトマーケット
お菓子だか豆腐だか
子供サンダル

お人形さんたち

お食事コーナー





















雰囲気としては、すげえ賑やかな縁日か、台北の夜市みたい。
フェスのステージはどこなんだと、人並みの中を進んでいくと、
小さな門に人が殺到していて、どうやらその先がアート・フェスティバルの会場らしい。


あとでわかったのだが、アート・フェスの正面ゲートは別にあって、
このナイトマーケットは、フェスに併設された俄作りのショッピングゾーン。
われわれが来た方向からだと、マーケットの方が近いので、
言うなれば「裏口側」で降ろされたのだ。


で、ひとの出入りで混雑している小さな門を抜けると、急に開けた空間に出た。
夜なので全貌がよくわからないが、でかい公園みたい。
やはり、いろんな屋台が並んでいるのだが、
その向こうに、タクシーから見えた光のおおもとである巨大オープンステージを発見。

会場内の立派な建物
(と書いたけど違ったかも...)










バリ・アート・フェスでは、5つくらいステージがあって、
昼間から夜の10時11時くらいまで、同時進行でいろんな出し物が行われるのだ。
巨大オープンステージを覗いてみると、
すり鉢型の客席スタンドの奥に、でっかいバリの割門が鎮座し、
その前がステージになっている。
まだ演目は始まってなかったが、
予想をはるかに超えた規模。ちょっとしたスタジアムコンサートだ。

ネットで調べたスケジュールによると、
その夜にこのステージで行われるのは「Balinese Song Exhibition」とのこと。
どんなものか皆目わからないが、ステージのセッティングを見る限り、
どう考えてもロックのコンサートである。

とりあえず、バリ初日からロックでもあるまいと、
二番目に大きなステージで「Grama Gong Exhibition」に行ってみる。
Gongといえばガムラン音楽だから、伝統芸能が見られるのだろう。

スケジュール表によると20時開始だったが、そこはアバウトなバリ時間。
遅れるどころか、5分ほど巻きで始まったことにまずビックリ。

MCの人の紹介のあと(インドネシア語なんで全然わからんけど)、
ガムランの楽団と、踊り子が出てきてパフォーマンスが始まった。
ガムランの青銅の音が鳴り響き、
「ああ、バリに来た!」と実感とともにテンションが上がる。

が、それも束の間。目の前で繰り広げられているのは
どうやらガムランを伴奏にした古典劇かなにからしくて、
なにかのストーリーに合わせて、
民族衣装に身を包んだダンサー同士の掛け合いが続く。

いや、正直、なに言ってんのかさっぱりわかりません。ごめんなさい。

しかも先ほどの巨大ステージでもコンサートが始まって、
向こうから迫力あるドラムの音がズンズンと聴こえてきて、
すげえ盛り上がってるっぽい。よし、あっちに移動してみよう。
しかし、ステージ同士の音のかぶりとかまったく気にしてないのな。
さすがはバリ。


で、そっちに行ってみて、スタンドを埋め尽くす観客の多さにビックリした。
そして、ロックバンドが出てるものだと思い込んでいたが、
目の前で繰り広げられていたのは、
エレキとガムランとバリ舞踊が渾然一体となった、
観たことも聴いたこともない、キュートでエスニックなプログレ歌謡ショーだった!

屋外ステージでコンサート中、盛り上がってます














基本はロック調なんだけど、
曲の構成は、ガムラン音楽らしい変拍子が複雑に組み合わさったもの。

編成はエレキギター、ベース、ドラム、キーボード、
コンガとバイオリンと4台のガムラン隊。
ボーカルとコーラス兼ダンサーが5人(男1女4)いて、メンバーは全員バリの民族衣装。
ウブドの芸能公演では絶対にお目にかかれないような、
伝統と現代がガッチリと手を組んだ、バリニーズロックである。
ショーアップにも余念がなく、100%エンタメ。バリ人の貪欲さ、マジで底知れない。

さらに子供の踊り子が2人追加投入されて、
壮大な照明とスモークの中、キメポーズでフィナーレ。
アッパレでした。いいもの見た。ムチャクチャ面白かった。


そして、この時点で確信した。
アートフェス、すなわち「芸術祭」という呼び名がなんとなく敷居を高く感じさせるけれど、
これって楽しんだ者勝ちの、なんでもアリなお祭りなのだと。
もちろんバリのアートが基本なんですが、その裾野の広いことよ。
こんなのがバリでは、一か月間、毎日続くのかよ。
ただでさえ、年がら年中宗教行事をやってる島なのに、どんだけお祭り好きなんだと。


演目は毎日変わるので、当たり外れもあるでしょうが、
ナイトマーケットや露店をひやかすだけでもお祭り気分が満喫できるし、
フードコート的なエリアに行けば、
ウブドのナシアヤム・クデワタン・イブ・マンクゥみたいな有名ワルンも出店していて、
ローカルなB級グルメにもこと欠かない。
パフォーマンス以外にも、絵画や民芸品の販売もあったみたいだし、
美男美女コンテストをやってる日もあるらしい。
別にステージを見なくても、いくらでも時間がつぶせるはず。


ただ、来場しているのは現地の老若男女と、
インドネシアのほかの島から来たとおぼしきローカル客ばかりで、
日本人や白人の観光客はほとんど見かけない。

いや、もったいないですよ。バリ・アート・フェス、みんな来たらいいのに。


二回目に行ったときは、
XXX(トリプルエックス、ヴィン・ディーゼルではない、アイス・キューブでもない)という、
かなりの人気らしいバンドがメインのトリを努めていた。
バリアートフェスの特別仕様らしく、バリ各地のガムラン隊や踊り子との共演。
これまたボーカルが大仰な伝統衣装を着ているんだけど、
歌はなぜかメタリカっぽかったり、DEATH声だったりする。

あと、ボーカル2人が、ケチャとかでよく見る道化コンビの役割も果たしていて、
芸人よろしく客席をやたらと沸かせていた。
ただ、掛け合いのMCコーナーがやたらと長いさだまさし状態に突入し、
インドネシア語がわからないわれわれは、途中で退散しました。

移動遊園地エリア
場内ワルンのナシチャンプル
バッソの屋台、綺麗に撮れた





















バリ・アート・フェスティバルのネックはアクセスの悪さで、
デンパサールの真ん中だから全然辺鄙じゃないんだけど、
公共の交通機関がないから、
車をチャーターするか、現地のツアーを探すか、タクシーに乗るしかない。

とくに問題なのは帰り道。
現地の人は大抵バイクに乗っているから、
観光リゾートとあまり関係のないデンパサールでは、流しのタクシーが極端に少ない。
夜の公演が終わる22時~23時頃になるとなおさらで、
大通り沿いで客待ちのタクシーがいてくれたこともあったけど、
暗い夜道で不安に包まれながら、30分ほど立ち尽くしたりもした。

いま思えば、タクシー会社の電話番号を控えておけば良かった。
ちなみにBALI TAXI(BLUE BIRD GROUP)の連絡先は(0361) 701111。24時間対応。
次の予定はまだないけど、これ、携帯の連絡先に入れておこう。

ほかには、メーター回しっぱなしでタクシーに待っててもらうか、
信用できそうなドライバーがいたら、名刺をもらっておく手もある。
泊っている宿に連絡しても、迎えを手配してくれたかも。


あと、最初に行った時は裏口であるナイトマーケット側から入りましたが、
サヌールのバイバス方面から行ったときは、
大通りであるハヤムウルック通りからヌサインダ通りに右折してすぐにある
アート・センターの立派な正面ゲートまで連れていってくれた。

ゲートの向かいには、ローカルワルンもいくつかあって美味しそうでした。
会場で遅い時間までウロウロしていたから、帰るころにはさすがに閉まってましたけど。


バリ・アート・フェスの公演スケジュールがアップされる公式サイトはこちら
ただ、結構直前までスケジュールが発表されないのでやきもきします。

あと去年のものですが、現地旅行会社のかなり詳しい紹介記事があったので。→リンク

4 件のコメント:

  1. いつの間にかブログ始めてたんですね!
    (ツイッターの告知を見逃していたらスミマセン)
    バリ行ったことないのですが、伝統文化などに興味があるのでとっても行ってみたくなりました。前の投稿にあったホテルとか素敵です♪

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    1. おお、興味が湧いたなら遠くない日にぜひぜひ。バリ島は文化過剰なところがあって面白いですよ。前の投稿のホテルは初バリの人向けではないかも、ですが、お勧めの宿ならいろいろありますよ!

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    2. ホテルそうなんですね〜。でも写真観てるだけでバカンスモードになりました。アジアだとシンガポールあたり?と思ったけど、文化過剰という言葉に俄然惹かれる。ただあんまり湿度が高いと何ですが…。またレポ楽しみにしています♪

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    3. インナ・バリ・ホテルにはまた泊まりたいんですが、立地も設備も渋いので、初バリならバカンス感や文化体験も含めて、もっとバリに恋するようなホテルをお勧めしたいかなと。バリは年の半分は乾季(4月~10月くらい)なんで、東京よりずっと過ごしやすいですよ。自分は緑が濃密な雨季も好きですなんですが。

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